「浩とブタ公の絆」(2007.3.11)

唐突ですが、「4コマ哲学教室」は私の通う高校で、「倫理」の学期末試験問題に採用された本です。シュールな作風で知られる漫画家相原コージ氏の連載漫画に、某高校の倫理教師を勤める南部ヤスヒロ氏が哲学的見地から解説を加えています。
内容は、自分の生きる意味などを知るため家を出た青年・浩が、道中でブタの「ブタ公」に出会い、様々な問答を繰り返しながら成長していく物語ですが、この「問答」には多種多様な思想家・哲学者の考えのエッセンスが詰まっていまして、教養的な部分を知るには本書一冊で十分でしょう。
そんな「問答」ですが、基本的に浩が悟った「真理」をブタ公に説明し、ブタ公がその「真理」を否定して、浩が絶望する、という形式を取っています。その一例を紹介しましょう。

浩:「ブタ公、俺さ、ようやく分かったよ。俺の生きる意味が」
ブタ公:「なに?」
浩:「俺はさ、幸せになるために生きてるんだよ」
ブタ公:「確かに幸せを夢見て追いかけることは出来るよ。でもそれは掴まえたと思った瞬間から、必ず指の隙間からこぼれていくよ。なぜなら幸せは絶対的な価値ではなく、相対的な価値に過ぎないからだよ」
浩:「うぅ〜〜〜〜〜・・・」
ブタ公:「パンもらうよ」

マズローの幸福論がテーマです。それではもう一例。

浩:「ブタ公、俺さ、今度こそ分かったよ。俺は『真理』を知るために生きてるんだ」
ブタ公:「『真理』なんてものはないよ。全ては『事実』の集積に過ぎないよ」

『真理』に対しての考え方、『帰納法』と『演繹法』に関しての記述。それぞれ有名なのはフランシス・ベーコンとルネ・デカルト。

などなど、他に記述が見られる人物を挙げると、
○問答法・・・ソクラテス、プラトン
○ドイツ観念論・・・カント、ヘーゲル
○プラグマティズム・・・デューイ
○実存主義哲学・・・キルケゴール、ニーチェ、ハイデッガー、サルトル
○構造主義哲学・・・レヴィ・ストロース
○ポストモダン・・・デリダ、レヴィナス
○その他・・・マルクス、エリクソン
はい、たくさんいますね(汗
でも、安心してください。これらの説明を、尾崎豊、モーニング娘。、CHEMISTRY、EXILE、ケツメイシなどを使ってやってしまったところがこの本の賞賛に値するところです。堅苦しい雰囲気は一切ありませんから、全年齢の方々にお勧めできます。特に、新高校一年生の皆さん。私の高校だけにとどまらず、全国でこの本を問題・授業に採用しておられる先生方は多いようですので、一度読んでみてはいかがでしょうか?
この本を足がかりにして、哲学者の原本に触れてみるのも一興かと思います。

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