「一学期末考査」という表現があります。私は、個人的に「一学期期末考査」と表記する方が好きです。なぜなら、「期末」を二つの単語(一学期と考査)が共有すると、「一学期末・考査」(或いは「一学期・末・考査」)と区切ることになり、毎回学期の終わりに行うテストに名前がなくなってしまうからです。私たちが一般にその考査をわざわざ「期末考査」と呼んでいるのは、「期末考査」を他のテストと区別してアイデンティファイするためで、ここではもはや期末考査という単語が一つの名詞化していると言えましょう。
 分かり易くするために中間考査も考えてみましょう。やはり「一学期・中間考査」と区切った方が良いと思います。こう区切っておけば、「中間考査」という概念に、X学期というサブタイトルを付けるだけで済みます。「一学期中間・考査」と考査から名前を奪ってしまう(概念を否定してしまう)と、一学期以外の学期の場合についても「X学期中間」という概念をいちいち設定しなければならなくなります。普通のテストと明らかに量も質も違う特別なテストなのですから、特別に名前を付けてアイデンティファイしたくなるのが人の常。だから、私は「中間考査」「期末考査」は、決して「一学期中間考査」「一学期末考査」の略称などではないと考えたいのです。つまりは、「中間考査」や「期末考査」がたまたま一学期に行われているだけなのだ、と言いたいわけです。この時「一学期」は考査の本質には無関係な限定語句に過ぎません。あくまでも重要なのは「試験が行われる」という事実を示す「中間考査」という単語が重要なのです。さらに、「一学期期末考査」と呼ぶことで「一学期中間考査」と文字数が等しくなり、見栄え的にも良いと思いますから、是非「一学期末考査」なんて呼ばないで欲しいと思います。
 同じように、「××高校歌」も、「××高校校歌」と表記すべきです。前者では、「各高校にある高校の歌」という一般概念が失われます。点在する一つ一つの高校にそれぞれ歌があるという風にしか認識できません。しかし、後者では、「さっき言った歌のことを校歌と総称するのだよ」と概念化していることになります。その上で「××高校の」というAdditional Informationを上乗せしていることになりますので、学校一つ一つの存在を気にせず、「校歌」という共通性に目を向けられるのです。これは認識するのにたいへん便利です。
 まとめますと、初めに「中間考査」「校歌」といった一般概念化した名詞が存在しており、そこに「それが行われる日時・場所」といった語の意味には関係しない「追加情報」がレイズされて、「一学期中間考査」「××高校校歌」といった言葉が生まれてきているのだと私は考えます。
 このようにして、大きい情報(一般化された名詞)に小さい補助情報(名詞の用法)を加えて私たちは物事を認識しているのはないでしょうか。

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