「究極の繊細美」(2006.3.22)

ようやく『半分の月がのぼる空6』読み終えました。
半月のあらすじとともに、感想を述べたいと思います。

半月とは、
肝炎で入院した高校生、戎崎裕一と重度の心臓病で入院する少女、秋庭里香との、病院内恋愛ストーリーです。(一言
誰にも心を開かなかった里香が、裕一と知り合い、次第に心を開いていく。
いつ死ぬか分からない、里香の運命と向き合うことを覚悟した裕一は、里香とともに故郷に残ることを決心する・・・。

SF的設定も何もない、普通の男の子と普通の女の子の普通の話。
でもなぜか泣ける。これは本当です。
日常を描いた作品で、ここまで感動を与えてくれた本はこれが初めてです。
この本の中心は哀しみ、辛さ、といったダークでブルーなものに終始貫かれていますが、人間は誰でもそれらと寄り添って生きて行かなくてはならない、ということを感じさせられます。
里香の心臓病を通して描き出される普遍性。たかがラノベじゃないか、と侮ってはなりません。
橋本先生の丁寧な情景、心情描写も毎回見事です。
特に、里香と裕一が退院し、普通の高校生活に戻っていくところは圧巻。
彼らの生きる場所は、病院ではなく、日常。ありふれた日常の素晴らしさを自然に感じさせるエンドでした。

語り手を次々に変えながら、洪水のごとく終わりまで突き進むノンストップ感に酔うとき、一筋の涙が頬または心を伝う快感を味わってください。
『半月』があなたのカタルシスアイテムとなることを願って。

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